αββα、父よ! 助けて下さい!!

 帰り道、バイクに乗りながら涙が流れます。その時、口から突いて出た言葉はこれでした。

 「αββα、父よ!助けて下さい!! お父ちゃん、パパ、天のお父様!!」

 滅茶苦茶な、祈りとも、叫びとも、うめきともつかない雄叫びの直後、フッと心に浮かんできた聖書の箇所がありました。それは創世記26:15-22の箇所でした。

ペリシテ人は、昔、イサクの父アブラハムが僕たちに掘らせた井戸をことごとくふさぎ、土で埋めた。
アビメレクはイサクに言った。
「あなたは我々と比べてあまりに強くなった。どうか、ここから出て行っていただきたい。」
イサクはそこを去って、ゲラルの谷に天幕を張って住んだ。
そこにも、父アブラハムの時代に掘った井戸が幾つかあったが、
アブラハムの死後、ペリシテ人がそれらをふさいでしまっていた。
イサクはそれらの井戸を掘り直し、父が付けたとおりの名前を付けた。
イサクの僕たちが谷で井戸を掘り、水が豊かに湧き出る井戸を見つけると、
ゲラルの羊飼いは、「この水は我々のものだ」とイサクの羊飼いと争った。
そこで、イサクはその井戸をエセク(争い)と名付けた。彼らがイサクと争ったからである。
イサクの僕たちがもう一つの井戸を掘り当てると、それについても争いが生じた。
そこで、イサクはその井戸をシトナ(敵意)と名付けた。
イサクはそこから移って、更にもう一つの井戸を掘り当てた。
それについては、もはや争いは起こらなかった。
イサクは、その井戸をレホボト(広い場所)と名付け、
「今や、主は我々の繁栄のために広い場所をお与えになった」と言った。
創世記26:15-22

 近々説教する箇所でした。この時22節が強く迫ってきたのです。そして主が語られました。

『レホボトを目指せ!!』と。

 アビメレクはイサクに語ります。どうか、出ていって貰いたい。理由はイサクが強くなったからでした。アビメレクはイサクに脅威を感じたのでしょう。

出て行った先でイサクは井戸を掘りました。するとゲラルの羊飼いたちが現れて言うのです。「この井戸は我々のものだ」と。どうせ言うなら、掘る前に言え!というところでしょう。

 イサクはどうしたか。粛々と移動します。そして次の場所で井戸を掘ります。水が出ると、また先のものが現れ権利を主張します。ここでも、イサクは淡々と移動するのです。そして次の場所においてまた井戸を掘ります。するとどうでしょうか。もう誰も来ませんでした。彼は

 「今や、主は我々の繁栄のために広い場所(レホボト)をお与えになった」と言うのです。

 これは信仰の告白です。実際追いやったのは、アビメレクであり、ゲラルの羊飼いです。しかし、はっきりとイサクは、これは「主だ」と言うのです。主がすべてのことを支配し、今、この場所にまで導いて下さったと。しかも、「我々の繁栄のため」と自覚します。先の場所では狭かった。存分に使えなかったから、主が人をやって自分たちを「レホボト(広い地)」に導かれたと。


 二つの場面 ―井戸とマンション―

 この時、先ほどの交渉の場面が思い浮かんで来ました。

 最初の発言者はまさしく、京都中央チャペルが活動すると、かなり激しくなることを予測しておられました。京都福音教会の伝統から言っても、反論の余地はありません。このマンションの用途から考えると、我々の動きは「強すぎる」ということでしょう。

 次の方はおっしゃいました。「このマンションは我々のものだ」と。どうせなら、決済の前、購入する前に言って欲しかった。でも、買えたから、はっきりと話してこられたことでしょう。

 最初の話し合いなのに、弁護士が出てきて司法的な判断を下しました。もう、ゴタゴタしても、結果は知れているということでしょう。この中で、選ぶことは一つです。つまり、イサクのように、粛々と井戸を捨てて、次なる場所に移動することです。下手に争わないこと。奪い取らないことです。主が「レホボト(広い地)」を用意して下さっていると信じて前進することです。

 家に帰り着いた時、涙は止まっていました。緊急でスタッフに集まって貰い、この顛末を話ししました。そして翌金曜日の夜、緊急長老会を開きました。その場で、このレホボト物語を語ったのです。我々はイサクのように、移動しよう。そしてレホボトを主が下さることを信じて、前進したい。ついてはこの旨を日曜日に発表したいと申し上げたのです。一同はすんなり状況を把握して下さり、一致してレホボトを目指すことに心を合わせることができたのです。

 でも、正直なところ、日曜日が怖くて怖くてたまりませんでした。どういう反応が生まれるであろうか。「若造はやっぱりダメだな」とか、「迂闊すぎる」とか叱責されても仕方ないことです。甘んじて受けなければなりません。しかし、それだけではダメです。どうしても京都中央チャペルは前進しなければなりません。主よ、確信を下さいと、眠れぬ夜を過ごしました。


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